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映画「ジョーカー」【ネタバレあり】誰にでも起こり得る!?1人の男の転落の物語

超話題の映画、「ジョーカー」を見てきました。

 

僕はアメコミを映画館に見に行ったことはありませんが、

アメリカのみならず、日本のヒーロー物でも

「悪役誕生までの物語」なんて物は見た事が無く

興味を持ったので、見にいきました。

 

アメコミ感は全く無く、

1人の男が転落していってしまう様が緻密で細やかに描かれ、

そして誰にでも起こり得る内容に恐怖を覚えるくらいの

凄まじい映画でした。

 

 

ホアキン・フェニックスの怪演!

 

この映画、はっきり言って主演の「ホアキン・フェニックスの1人芝居」です!

 

主人公はコメディアンを夢見るアーサー・フレック

ピエロを派遣する会社に所属し、母親と貧しい生活をしながらも

「笑う事こそ、人を、そして自分を幸せにする」と信じ、

日々コメディアンになるための下積みを頑張っています。

 

しかしアーサーは「発作的に笑ってしまう」心の病を患っていて、

屋外で発作が出てしまう時は、周りの人たちを不快にさせてしまう程で、

ソーシャルワーカーのカウンセラーから薬を貰って何とか抑えてる状況です。

 

この笑い方がまず凄い!

”場によっては誘い笑いみたいになる可能性”すら皆無!

何故なら「どこか嘲笑されてるような感じ」なんです。

あくまで”感じ”なんです。はっきり”嘲笑”では無いんです。

この塩梅がとにかく絶妙なんですよ!!

 

そしてこの”笑い”にはどことなく狂気をも含まれている気がしてならないんです。

でも、表情は泣いてるんですよ・・・”口角を上げているだけ”の笑顔なんです。

ただただ切ない・・・

 

”笑い”だけでもこの情報量・・・凄まじいっ!

 

この”笑い”も原因の一つとなって、アーサーはことごとく上手くいきません。

一つずつ確実に”アーサーから社会との繋がり”を奪っていきます。

仕事をクビになったり、市の経費削減によりカウンセリングが廃止されたり、と

アーサーを支える存在達が彼の下から離れていきます。

カウンセリングが廃止された事により、薬も貰えなくなります。

 

その都度アーサーの表情は徐々にジョーカーへと近づいていくんです。

怯え→落胆→絶望→狂気というのが大まかな変遷でしょうか。

 

この「表情の演技」が凄まじい!

僕は演技について詳しくありません。そんな僕が感じ取れるほどの演技!

 

もう今や有名な話ですが、

ホアキン・フェニックスはこの役のために24kgの減量をしました。

「アーサーは貧しいんだからガリガリじゃないとおかしい」というのが理由です。

頬はこけ、たくさんのシワが走る顔が、さらにこの表情の演技に拍車をかけ、

全編にわたり鬼気迫る演技を見せ付けていたんです!

 

初見者も入りやすく、アーサーの気持ちにもリンクしてる演出、パない!

 

物語は

ゴミ収集業者がストライキを起こしたところから始まります。

給与の上昇を訴えてのことです。

 

これによりゴッサムがゴミで溢れかえり、

パッと見で「ヤバい街」が完成します。

”舞台作り”がまず上手いですよねぇ~♪

初見の人にも「ゴッサムとは何ぞや?」がすぐ伝わるんですから♪

 

てか、僕も「ダークナイト」を”途中から見る”ってのを2回しただけで、

バットマンのシリーズはほぼ初見です・・・。

 

同時にゴッサムでは市長選も行われていました。

その最有力候補が「トーマス=ウェイン」。

ゴッサム最大企業「ウェインエンタープライズ」のトップであり、

バットマンであるブルースの父ちゃんです。

 

しかし、貧困層には物凄く敵視されているんです。

何故なら「金持ちだから」です。

「金持ちには俺達(貧困層)の気持ちなんて分かるわけが無い!」っていうのが、

彼らのトーマスに対する気持ちなんです。

 

これにより、

ゴッサムは「貧富の差が激しい」という事が伝わります。

元々、歴代バットマンシリーズでもゴッサムはそういう設定らしいんですが、

初見の人(僕)には親切な描写でしたね♪

 

更にこの描写は、

”アーサーもあくまで貧困層の一人であり、特別な存在ではない”という事に

説得力を持たせています。

 

ぶっちゃけると、”ゴミ収集業者のストライキ”も”市長選”も、

描かなくても、ストーリーに支障はないんですけど、

序盤でこの設定を伝える事で、初見の人にもスムーズに

物語に、そしてアーサーに入り込み安くしてくれています♪

 

そして、これは僕の思い過ごしかもしれませんが、見ていて感じた事が1つ・・・。

画面の「色」が終盤にかけて明るくなっていった気がするんですよね・・・。

つまり、

「アーサーがジョーカーになっていくにかけて」です。

 

冒頭から、昼間の場面であっても暗く陰鬱な色が支配しているんです。

「悪役誕生の物語やから、暗い雰囲気なんやなぁ~」って思った記憶があるんで。

 

しかし、物語が進むにつれて、上にも書かせて頂いたように、

アーサーから社会の繋がりが離れていくほどに

画面は明るくなるように感じたんです。

 

まるでアーサーの心情とリンクしているが如く!

 

アーサーは様々な苦痛を経験していって、悪い方向に振り切っていきます。

その都度、画面の”色”は明るくなり、

ラストの”階段を踊りながら下るジョーカーのシーン”では、

まばゆく輝いてる”光”が画面を埋め尽くします。

 

完全な「ジョーカーの誕生」を示唆してるようにしか思えなかったんですよね・・・

 

ま、「もう1回見て、確かめたい」ってのが正直なとこですけど(笑)

 

誰にでも起こり得る恐ろしいストーリー

 

アーサーに降りかかる様々な不幸は、その全てがジョーカーへと繋がっていき、

その全てが”誰にでも起こり得る事”なんです(恐怖)

  1. 不良少年達に絡まれボコボコにされる。
  2. 「自衛のため」と銃を同僚から貰う。(これが転落への鍵です。)
  3. 派遣先で銃携帯がバレ、クビに。

日本は銃社会では無いですが、”刃物”などなら充分有り得る事です(恐怖)

 

そして、地下鉄で3人のサラリーマンに襲われ、銃殺してしまうんです。

ここから転落が始まってしまうんですが、

「富裕層」に分類されるサラリーマンを銃殺した事で、

貧困層の人達から英雄扱いされるんです。

(犯人はまだアーサーだとバレてません)

 

ここが皮肉なところです。

これまでの人生に絶望し、居場所を見出せなかったアーサーの願いは、

「”自分は存在しているんだ”と世界に認めて欲しい」

というものでした。

 

今までは、それが「コメディアンになり、人を笑わせる事」だったんです。

全く持って健全な志です。応援すらしたくなります。

 

しかし、殺人事件を起こしてしまった事でその願いが叶えられてしまうんです。

そしてアーサーの”何か”が弾け飛んだ・・・。

 

この後もまだまだアーサーの心の支えが次々と崩れ去ってしまうんですが、

やはり、その全てが”実際に起こり得る事”なんですよ。

家族だったり、恋人だったり、と・・・

 

そして最後に”ジョーカー”はこう言います。

「人生は悲劇じゃない、喜劇だ」と・・・。

 

ジョーカーが劇中最後の”ある事件”を起こしたことで、

貧困層の人達が暴徒と化し、ゴッサムは無法地帯となります。

その中でジョーカーは貧困層の人々に祭り上げられ、

彼の”願いの成就”が最高潮となってしまうのでした。

 

この最中、とある路地裏で

1人の暴徒に目の前で両親が殺されてしまう、

幼い日のブルース=ウェインがいたのでした。

 

まとめ

 

あくまで「映画として」では、凄く面白かったです!

ただ内容が内容なだけに、考えさせられるものでした。

 

物凄く無責任な言い方をしてしまえば、

「ジョーカーを生んだのは社会だ!」という感想を持ってしまわなくも無いんですが、

アーサーも「良い方と悪い方の2択で、

”悪い方”ばかりを選んでしまった」感も否めないんですよね・・・。

 

ただ、本当にその全てが現実に、誰しもに起こり得る事で、戦慄を覚えました。

 

上映中、ずっとアーサーを心配顔で見てましたもん。

「この人どうなってしまうんやろ?」って。

 

・・・ジョーカーになるんです(笑)

 

結末が分かってるのに・・・興味深い映画でした。

 

ほな!